港で出合う芸術祭——神戸ビエンナーレ (Kobe Biennale)
山海に映えるアートな空間
大阪日日新聞 (Osaka Daily Journal )
関西美術探訪 (Kansai Art Visits)
12/11/2013
By Yue Yu
神戸で2007年から2年に1度、芸術文化の祭典「神戸ビエンナーレ」を開催している。さまざまな人や文化がアートで「出合い(2007)」、「わ(2009)」となり、「きら(2011)」めき始めた神戸が、これまでの枠組みや価値観を切り裂く力となり、色とりどりに花咲く明日を信じてきた。第4回を迎える今年のテーマは、 『さくsaku』となった。
シンボリックな海と山のコントラストが映える神戸らしいウォーターフロントの代表であるメリケンパークをはじめ、兵庫県立美術館、BBプラザ美術館、元町エリアなどを主会場として展開する。
メリケンパークでは「アート イン コンテナ国際展」の作品25点と、「創作玩具国際展」、「いけばな未来展」、「韓国・光州作家展」、「中国・天津作家展」など多彩な展示が行われている。「アート イン コンテナ」はメディアやさまざま表現手段を使っている作品が目立つ。例えば、今回大賞受賞の安蔵隆朝作「Light Flower of Two Faces」は、回転体にプロジェクターで映像を映す仕掛けで、無数の小さな球体がまるで生き物の様に見えるが、突然映像を消しストロボが発光し始めると隠れていた実体が現れる。作者が表現した華やかさの裏側に潜む現実〟を実感できる。また、「創作玩具国際展」は、木・布・金属で素材を活かした斬新な玩具を生み出した作品の集結。現場でたくさんの子供たちが楽しんで遊んでいた姿が印象的だった。単にアート作品を見るだけでなく、「自分で触れる、参加できる」のも楽しい試みだ。
次はシャトルバスで阪神岩屋駅にほど近い県立美術館に向かった。今回は王子動物園近くの横尾忠則現代美術館と連携を図り、両館の所蔵品等から「感応する風景」とした展示。特に、Y字路シリーズは印象的だった。用意してくれた休憩の椅子をよく見ると、Yの字の形になっている。個々の作品は、それぞれ違いY字路であり、興味深かった。Y字路に立つと「左右どちらに行けばよいのか?」と迷ってしまう。
最後に、私が訪れたのは県立美術館近くのBBプラザ美術館。「兵庫・神戸の仲間たち展」と「現代陶芸展」を開催している。メリケンパーク展示作は動的としたら、BBプラザ美術館の作品は静謐に満ちている。月の下に楽器を弾いている男。静かに咲いている椿。淡い悲しみに溢れる少女。空のようなお皿。真っ白な蓮のお碗。息を呑むほどの美しさ。ここを出た時にはもう夕暮れ。「充実した1日を送った」と感じた。
ちなみに神戸港の遊覧船からは、海から見る神戸港や神戸の街並みを楽しむとともに巨大なアート作品も楽しめる。他のアートイベントにはない魅力となって、12月1日まで開催中だ。